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川辺ナホ 個展『The Children of Icarus』

開催期間2017年3月11日(土)~2017年4月9日(日)
休館火曜、水曜、祝日
時間月曜 17~23時、木・金・土 12~19時、日曜 12~18時
会場WAITINGROOM
ホームページhttp://waitingroom.jp/japanese/exhibitions/current.html
住所東京都渋谷区恵比寿西2-8-11渋谷百貨ビル3F(4B)
お問い合わせ先info@waitingroom.jp
《Metasequoia》2017年、C-Print、30 x 45 cm
WAITINGROOM(東京)では2017年3月11日(金)から4月9日(日)まで(レセプションは3月10日開催)、川辺ナホ個展『The Children of Icarus』を開催いたします。当ギャラリーでは初の、国内では3年ぶりの個展開催となる川辺は、ドイツと日本を拠点に活動し、マテリアルの変換をテーマに、映像や複数のオブジェを組み合わせたインスタレーションなど、メディアを横断して作品を制作している現代美術アーティストです。本展は、現代社会における原子力エネルギーや放射能物質を取り巻く問題を起点に、人が知覚し得る範囲をはるかに超えた時間軸をテーマにしながら、緻密に計算された光と影によるインスタレーション作品、木炭を使った平面作品、ペーパーカットによる半立体作品など、すべて新作で構成されます。


作家・川辺ナホについて

1976年福岡県生まれ、現在はドイツと日本を拠点に活動中。1999年に武蔵野美術大学造形学部映像学科卒業後、2006年にUniversity of Fine Arts of Hamburgを修了。近年の展覧会として、2016年個展『delikatelinien』(Ermekeilkaserne / ボン・ドイツ)、2016年グループ展『The Material of Memory』(Frise / ハンブルク・ドイツ)、『Lifestyles』(Westwerk / ハンブルク・ドイツ)、2014年グループ展『想像しなおし』(福岡市美術館 / 福岡)、2014年個展『piece, piece (with Jane Brucker)』(Port Gallery T / 大阪)、2013年個展『Observer Effect』(Galerie du Tableau / マルセイユ・フランス)、2011年個展『Shiseido Art Egg / Open Secret』(Shiseido Gallery / 東京)などが挙げられ、国内外で精力的に活動しています。


何万キロと離れた場所、何億光年と離れた場所。何千年もの昔、何億年後の未来。どのくらい遠くまで、想像することができるだろう

2016年8月31日、原発の廃炉で出る放射性廃棄物のうち、「原子力規制委員会は制御棒など比較的放射能レベルが高いもの(L1)の扱いを決めた。地震や火山の影響を受けにくい場所を選び、70メートルより深い地中に埋めて、電力会社が300~400年間管理する。そのあとは国が引き継いで、10万年間掘削を制限する(原子力監視委員会)」。この10万年という、人間の知覚し得る範囲をはるかに超えた時間を目の当たりにした時、私たちの想像はどれほどまで遠くにいくことができるのでしょうか。「時間の想像の距離が延びれば延びるほど、今立っているこの場所は相対的に細く細く綱渡りの綱のようになってゆくので、バランスを取るのが難しい。時間の長さをバランス棒のように横に持ち変えることはできないだろうか。」と川辺は言います。

本展では、球体のオブジェと光と影によって作り出されるインスタレーションに、SF小説から引用された名前が浮かび上がります。10万年という、もはや人間の視点で理解できる範疇を優に超えた距離を、川辺は生態や知的構造の全く違う星に住む、異星人からの視点に置き換えました。はるか遠くの時間を想像することは「わからない」ものに対峙することであり、それを乗り越えるためのファーストコンタクトから理解するための試みとして提示します。

川辺は、作品に用いるマテリアルの社会的コンテクストを重視し、丹念なリサーチの上でマテリアルの選択を続けてきました。これまでもたびたび用いられてきた炭(石炭)というマテリアルは、3億6000年前に光合成を行なっていた植物の化石が地下に圧縮されて生まれたものです。そしてそのひとつの物質には、炭鉱という産業の歴史、CO2の環境問題、エネルギーの循環、灰に至るまでの途中の状態、光を反射しない物質、といったいくつもの異なった位相の情報が付随しています。川辺の作品は、そういった圧倒的な時間の中で蓄積されてきた物質が、人間の視点での時間軸の中で変化してきたことを気づかせ、その作品を知覚した鑑賞者の足元を揺らがせます。また、2001年よりヨーロッパに拠点を置いて活動して行く中で、「ヨーロッパの土地の上に政治的に、あるいは歴史的に引かれた多くの国境線を目にした。国境線という事象が、私にとっては”変換の境目”が現実となって、現れ出たように思われた。」と川辺は語ります。国境線をバラバラにしてペーパーカットにする作品は、そうした変換の境目に形を与え、現在大変シビアな状況にある世界情勢の中に存在する様々な境界線に対して、新たな視点を提案しています。

確かなものなどなく、目に見えるものだけが全てではない、あらゆるものの価値基準が一瞬で崩れるかもしれない。そんな時代の中に輪郭を残すこと、新たな視点を投げかけること、適切なマテリアルを慎重に選び制作された作品を通して、川辺はそうした試みを続けています。日本国内での発表は久しぶりとなる川辺の新作に、是非ともご期待ください。

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